※本記事の税制・控除に関する記載は、国税庁などの公表資料に沿った一般的な制度紹介です。税額の計算・特例が使えるかの判断・申告は税理士が行います(私は税理士ではありません)。個別のことは税理士または税務署(国税庁の電話相談もあります)にお問い合わせください。また、賃貸運用に関する記載は一般的な情報提供であり、投資助言・運用判断のアドバイスではありません。

転勤が決まりました。持ち家を売るか貸すか、限られた時間でどう決めればいいのでしょうか?
転勤が決まると、引っ越しの準備と同時に、持ち家をどうするかも考えることになります。そこで私は、金額を比べる前に、戻る予定がどのくらい確かかを先に確かめる順番をおすすめしています。そのうえで、売った場合の手残りと、貸した場合に毎月残るお金を同じ表に並べると、違いが見えやすくなります。
- 転勤が決まったら最初に確かめること
- 戻る予定の確かさで変わる、比べる相手
- 売った手残りと、貸して毎月残るお金の並べ方
- ローンと税について、金融機関と税理士に確かめたいこと


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転勤が決まった持ち家は、売るか貸すかの前に何を確かめる?



金額を調べる前に、今のご家庭の前提を言葉にしてみましょう。
売るか貸すかの答えは、家の条件だけでは決まりません。たとえば、何年か先に戻る予定のご家族と、戻るか分からないご家族では、見るお金が変わるからです。そこで私は、転勤が決まった持ち家については、次のことを先にお聞きしています。
- 戻る予定があるか、その時期はどのくらい確かか
- 会社の規定(転勤の期間、住宅の補助)
- ローンの残りがいくらあるか
- 持ち家の費用と転勤先の費用を、同時に払い続けられるか
なかでも会社の規定は、ほかの項目の前提になります。転勤の期間が分かれば戻る時期の見当がつきますし、住宅の補助があれば、持ち家に回せるお金の計算が変わるからです。ですから、辞令を受け取ったら、まず勤務先に確かめてみてください。
一方で、戻る時期がはっきりしないときは、「分からない」を答えとして、そのまま比べる段階に進みましょう。
ここがポイント
- 金額を調べる前に、戻る予定と時期の確かさを言葉にする
- 転勤の期間と住宅の補助は、会社の規定で確かめる
- 持ち家と転勤先の費用を合わせて、払い続けられるかを見る
プロとしての判断|戻る予定の確かさで、比べる相手を変える



戻るかどうか、会社からもはっきり言われていません。それでも決められますか?
比べる相手を先に絞るのは、転勤までの限られた時間で調べることを減らすためです。私は、次の表のように、戻る予定の確かさで分けて考えています。
| 戻る予定 | 中心に比べること | あわせて確かめたいこと |
|---|---|---|
| 戻る時期がはっきりしている | 貸すか、置いておくか | 戻る時期に合わせて契約を終えられるか、空けておく間の費用と管理 |
| 戻らない可能性が高い | 売ることを軸にする | 売った場合の手残り、ローンを返しきれそうか |
| 分からない | 期間の決まった貸し方も含めて、売る場合と比べる | 貸したあとで売るときの進め方、期間が来たときに選べること |
「戻るか分からない」なら、売るか貸すかをいま言い切らなくても大丈夫です。
定期借家は、戻る時期に合わせたいときの貸し方
期間を決めて貸す形の代表が、定期借家(定期建物賃貸借)です。契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する制度です(国土交通省の案内)。
一方で、普通の賃貸借(普通建物賃貸借)では、正当の事由がない限り、貸す側(賃貸人)からの更新拒絶はできません。ですから、戻りたい時期があるなら、貸すと決める前に契約の種類を確かめておきたいところです。
ただし、定期借家には手順の決まりがあります。貸す側は、契約書とは別に、契約の締結前に事前説明文書を借りる側に交付して、事前説明を行います。さらに、期間の満了により終了することを通知する義務があり、契約期間が1年以上なら、期間満了の1年前から6か月前までの間に通知します(同じ案内)。
そのため、離れた場所からこの時期を逃さず動けるか、管理を誰に任せるかも、あわせて考えておきましょう。
また、定期借家は、期間が決まっている分、普通の賃貸より家賃が低くなったり、借り手が限られたりすることがあると私は考えています。
また、転勤が延びて戻る時期が変わったときは、貸す側と借りる側の双方で合意すれば、改めて再契約をする形もあります。
ここがポイント
- 戻る予定の確かさで、比べる相手を絞る
- 定期借家は、期間が来ると更新されずに終わる貸し方
- 終了の通知の時期と、離れている間の管理まで考えておく
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売った手残りと、貸して毎月残るお金はどう比べる?



家賃でローンが払えるなら、貸すほうがよいのではないでしょうか?
家賃でローンが払えることと、貸し続けられることは別の話です。
入居者がいない月も返済は続きますし、修繕や管理の費用は、ローンとは別に出ていくからです。そこで、次の表に、ご自身の数字を入れて比べてみてください。
| 並べる項目 | 売る場合 | 貸す場合 |
|---|---|---|
| 入ってくるお金 | 売れた金額 | 毎月の家賃(入居者がいる間) |
| 出ていくお金 | 売る費用、ローンの残りの返済 | ローンの返済、管理を任せる費用、固定資産税、保険料、マンションなら管理費と修繕積立金 |
| ときどき出ていくお金 | 引っ越しや片付けの費用 | 修繕、入居者が替わるときの費用、空室の間の負担 |
| 税について確かめること | 売ったときの税 | 家賃を受け取るときの税 |
| 手元に残るもの | 売ったあとに残るお金 | 毎月の残り、ローンの残り、家そのもの |
| 戻るとき | 同じ家には戻らない | 契約の終わり方で、戻れる時期が変わる |
反対に、次の置き方をすると、比べた結果が実際とずれやすいと私は考えています。
- 家賃の全額を、毎月の収入として置く
- 毎月の残りだけを見て、いつまで貸すかを決めずに比べる
- 売れる金額を、希望の金額で置く
- 住宅の補助を、勤務先に確かめないまま入れる
10年の収支で比べる見方は、不動産を売却するvs賃貸に出す|どちらが得か10年間の収支シミュレーションで徹底比較も参考にしてみてください。
転勤までの時間が短いときは、選べる状態を先につくる
転勤までの時間が短いと、どちらかに決めてから動きたくなるものです。しかし私は、売却の見通しと貸す場合の条件の両方を先に確かめ、選べる状態にしておくことをおすすめしています。片方だけを調べて決めると、比べる材料が残らないからです。
確かめておきたいのは、次の点です。
- 売却の見通し:売れそうな金額、ローンを返しきれそうか、家を離れる時期に間に合いそうか
- 貸す場合の条件:家賃の見込み、契約の種類、離れている間の管理を誰に任せるか
ここがポイント
- 貸す場合は、修繕と空室の負担まで入れて、続けられるかを見る
- 売る場合は、費用とローンの残りを引いて、手元に残るお金を見る
- 時間が短いときは、片方に決める前に両方の見通しをそろえる
ローンと税については、誰に何を確かめる?



どちらも、決めたあとではなく、決める前に聞いておきたいところです。
まずローンです。たとえば住宅金融支援機構の財形住宅融資についての案内には、無断で融資住宅を知人に賃貸したり、融資住宅に住まなかったりすると、機構との間で取り交わした契約に違反することとなり、融資金の全額を一括して返すことになるとあります。ただし、これは機構の融資についての案内で、ほかのローンの条件はご自身の契約によりますので、貸すと決める前に借りている金融機関に聞いてみてください。
売る場合も、売れた金額でローンを返しきれそうにないときは、進め方を金融機関に確かめます。
次に税です。マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります(マイホームを売ったときの特例)。
転勤に関わるのは、いつまでに売るかです。以前に住んでいた家屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限られます。ただし、ほかにも要件があるので国税庁の案内をご覧ください。
また、住宅ローンの控除(住宅借入金等特別控除)を受けている場合は、家を離れると適用に影響します。再び住むときに改めて適用を受けるには、離れる前の手続などの要件があります(国税庁の案内)。
税理士か税務署には、たとえば次のように聞いてみてください。
- 転勤で住まなくなったあとに貸してから売る場合、マイホームを売ったときの特例の要件はどう見ればよいですか?
- 住宅ローンの控除を受けている場合、家を離れる前に行う手続は何ですか?
- 貸して家賃を受け取るときの申告は、どう考えればよいですか?
まとめ



迷ったときは、戻る予定の確かさに立ち返ってみましょう。
- 売るか貸すかは、戻る予定の確かさと会社の規定から考える
- 貸す場合は、家賃とローンの差だけで決めない
- ローンは金融機関に、税は税理士か税務署に、決める前に聞く
まず、戻る予定と勤務先の規定、ローンの残りを紙に書き出してみてください。そのうえで、売る場合と貸す場合の表を、ご自身の数字で埋めていきましょう。
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※本記事は執筆時点の公開情報をもとにした一般的な解説です。制度や金額は変わることがあるので、最新の内容は各確認先でご確認ください。
【参考情報】
| 機関名 | 内容 |
|---|---|
| 国土交通省 | 定期建物賃貸借 Q&A |
| 住宅金融支援機構 | (財形住宅融資のみ)転勤などで一時的に住めなくなったとき |
| 国税庁 | マイホームを売ったときの特例 |
| 国税庁 | 住宅借入金等特別控除の再適用 |










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