相続した家の3つの期限|3年・3年10か月・登記義務を1枚の時系列に

相続した家の締め切りをひとつの表にのイメージ(机の上の書類とカレンダー)

読了時間 約17分

対象読者:親の家を相続した/相続放棄・税の申告・登記の締め切りを一覧で確かめたい/相続した家を売るときの税の制度の要件を知りたい

※本記事の税制・控除に関する記載は、国税庁などの公表資料に沿った一般的な制度紹介です。税額の計算・特例が使えるかの判断・申告は税理士が行います(私は税理士ではありません)。個別のことは税理士または税務署(国税庁の電話相談もあります)にお問い合わせください。また、賃貸運用に関する記載は一般的な情報提供であり、投資助言・運用判断のアドバイスではありません。


「相続の手続き、締め切りがいくつもあって混乱しそう…」

「登記の3年と、家を売るときの税の3年は同じなの?」


親の家を相続すると、相続放棄、税の申告、登記、家を売るときの税の制度と、締め切りや区切りのある手続きがいくつも重なります。

このうち締め切りが「3年以内」と書かれているのは登記で、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。

相続した家を売るときの税の制度にも「3年」が付く売る時期の要件がありますが、こちらは数え始めの日が登記とは違います。

この記事でわかること
  • 相続した家にかかわる締め切りと、数え始めの日の一覧表
  • 相続放棄・準確定申告・相続税の申告を、誰がどこにするか
  • 相続登記の締め切りを守る手続きと、話し合いがまとまらないときの方法
  • 空き家を売るときの税の制度の、家屋・売った人・売り方の要件と添える書類
  • 相続税の一部を取得費に加える仕組みの要件と、税理士に確かめたいこと
  • 住む・貸す・置いておく・売るで、先に見るところ

この記事を書いた人

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目次

相続した家の締め切りを、ひとつの表にすると?

【この章の結論】締め切りの起点は手続きごとに違います。家族でまとめるより、ひとりずつ自分の起点で表を見ます

相続した家にかかわる締め切りは、相続放棄の申述、準確定申告、相続税の申告、登記と、売るときの税の制度で決められた売る時期です。手続きごとに数え始めの日が違うので、表には起点を国税庁・法務省・裁判所の案内の言葉のまま入れています。

スクロールできます
手続き・制度いつまで数え始め(案内の言葉のまま)確かめる先
相続放棄の申述3か月以内自己のために相続の開始があったことを知ったとき家庭裁判所
準確定申告(年の中途で死亡した人の場合)4か月以内に申告と納税相続の開始があったことを知った日の翌日税務署
相続税の申告(申告がいる場合)10か月以内被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日税務署
相続登記3年以内不動産を相続で取得したことを知った日法務局
相続人申告登記(相続登記の義務を履行するための簡易な方法)期限内(3年以内)に申し出る上の行と同じ法務局
遺産分割で不動産を取得した場合の登記3年以内遺産分割法務局
令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、相続登記がされていないものの相続登記令和9年3月31日まで日付で決まっている法務局
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例:売る時期の要件3年を経過する日の属する年の12月31日まで相続の開始があった日税務署・市区町村
同じ特例:制度の期間平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ること日付で決まっている税務署
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例:売る時期の要件相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで相続開始のあった日の翌日税務署

「売る時期の要件」の行は、税の制度を受けるための要件として国税庁の案内に書かれている売る時期です。起点の言葉は「知ったとき」「知った日の翌日」「相続の開始があった日」などに分かれていて、年数が同じ行でも区切りの日がそろうとは限りません。

たとえば、遠方に住むきょうだいふたりが、親がひとりで住んでいた家を受け継いだとします。相続放棄の行は、ふたりがそれぞれ、自己のために相続の開始があったことを知ったときから数えます。そのときがふたりで違えば、区切りの日もずれることがあります。

また、親が亡くなったことはすぐに知っていても、親の名義の土地がほかにもあると後から分かった場合、その土地の相続登記の行は、その土地を相続で取得したことを知った日から数えることになります。

ですから私は、家族で表をひとつにまとめるより、ひとりずつ自分の起点で見ることをおすすめしています。誰がどの行を受け持つかも、そのとき一緒に決めておくと抜けが出にくいと考えています。

「同じ3年でも、区切りの日が違うことがあるんですね…」

はい。表の起点の欄を、ご自身の日付に置き換えて読んでみてください。

ここがポイント

  • 起点の言葉(知ったとき・知った日の翌日・相続の開始があった日など)は、行ごとに違う
  • 同じ年数の行でも、区切りの日がそろうとは限らない
  • 誰がどの行を受け持つかを、家族で決めておく


相続放棄・準確定申告・相続税の申告は、誰がどこにする?

【この章の結論】相続放棄は家庭裁判所に、準確定申告と相続税の申告は税務署にします。相続税は、申告がいるかどうかの確認から始めます

相続放棄は相続人が家庭裁判所に申述する手続きで、準確定申告と相続税の申告は、相続人などが税務署に申告書を出す手続きです。相続税の申告は、申告がいるかどうかを確かめるところから始まります。

受け継ぐかどうかの選び方と、相続放棄の申述

相続が開始した場合、相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます(裁判所の案内)。

  • 単純承認:被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ
  • 相続放棄:被相続人の権利や義務を一切受け継がない
  • 限定承認:被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ

相続放棄は、家だけを受け継がない、という選び方ではありません。

ですから私は、家をどうするかより先に、相続人として三つのうちどれにするかを考える順番がよいと考えています。

相続人が、相続放棄又は限定承認をするには、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

このうち限定承認は、裁判所の案内で、相続人全員が共同して行う必要があるとされています。

相続放棄の申述をするのは相続人で、相続人が未成年者または成年被後見人である場合には、その法定代理人が代理して申述します。

相続放棄の申述先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。申述先の裁判所は、裁判所の「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で調べられます。

表の期間内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。

たとえば、親に借入れがあるかどうかを調べても、表の期間内に判断する資料がそろわないときは、この申立てを考えることになります。

準確定申告は、亡くなった人の所得の申告

準確定申告は、国税庁の案内の題でいう「納税者が死亡したときの確定申告」のことです。

年の中途で死亡した人の場合は、相続人等(包括受遺者を含みます)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算します。

相続人等が複数いる場合は、各相続人等が連署により準確定申告書を提出することになります。

ただし、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。

提出先は、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長です(国税庁の案内)。

相続税の申告は、いるかどうかの確認から

「相続税の申告って、うちにも関係あるの?」

国税庁の案内の言葉を、確かめる順に並べると次のとおりです。

  1. 相続や遺贈によって取得した財産と、相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の、価額の合計額を出す
  2. そこから債務などの金額を控除し、加算対象期間内に被相続人から暦年課税に係る贈与により取得した財産の価額を加算する
  3. その額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に、申告と納税が必要

被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場合は、加算対象期間は相続開始前3年以内となります。詳しくは、国税庁の案内のコード4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」に書かれています。

たとえば、財産を受け継ぐ人が、亡くなる前の年に親から暦年課税に係る贈与を受けていた場合は、加算対象期間内に被相続人から取得した財産として、その価額を加算するかどうかを確かめることになります。

合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありません。

遺産に係る基礎控除額は、国税庁の案内では「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

申告がいる場合、相続税の納税も申告期限までに行うことになっています。

相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です(国税庁の案内)。

相続税の申告がいるかどうかは、合計額を遺産に係る基礎控除額と比べるところから始まります。当てはまるかの判断は、税理士や税務署に確かめてください。

ここがポイント

  • 相続放棄は、家だけを受け継がない選び方ではない
  • 判断する資料がそろわないときは、期間の伸長の申立てという方法がある
  • 合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内なら、相続税の申告も納税も必要ない


相続登記の締め切りは、どの手続きで守れる?

【この章の結論】遺産分割がまとまらないときは、期限内に相続人申告登記を申し出る方法があります。義務を果たしたとみなされるのは、申し出た相続人についてです。売るときは相続登記が必要です

締め切りまでに相続登記の義務を果たす方法は、相続登記をすることのほかに、もうひとつあります。

早期の遺産分割が難しい場合には、新たに作られた「相続人申告登記」の手続を法務局ですることによって、義務を果たすこともできます(法務省の案内)。

「きょうだいの話し合いが長引きそう。登記はどうしておけばいい?」

相続人申告登記の中身

相続人申告登記は、自らが登記簿上の所有者の相続人であること等を、表の期限内に登記官(不動産を管轄する登記所)に申し出ることにより行います。

この申出で義務を履行でき、特定の相続人が単独で申し出ることができます。ただし、法務省の案内では、相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされます。相続人の全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要があります。

申し出るときは、必要な戸籍の証明書(戸除籍謄本等)等を添付します。

この制度は、相続登記の義務を履行するための簡易な方法として新設されたもので、令和6年4月1日からスタートしています。

遺産分割がまとまったら

私は、相続登記と相続人申告登記のどちらで締め切りを守るかを、遺産分割がいつまとまりそうかの見通しで決める順番がよいと考えています。

たとえば、きょうだいの話し合いが長引きそうなときは、まず相続人申告登記をしておき、遺産分割がまとまってから、その内容に応じた登記をする、という順番になります。

遺産分割がされた後にこれに基づく登記をする義務は、相続人申告登記によって履行することはできないからです。

また、相続人申告登記は不動産についての権利関係を公示するものではありません。相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、相続登記をする必要があります。

間に合わないときと、「正当な理由」の例

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

法務省の案内では、相続登記の義務の履行期間内において、次のような事情が認められる場合には、一般に「正当な理由」があると認められるとしています。

  • 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
  • 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
  • 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
  • 相続登記の義務を負う者が、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
  • 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

たとえば、相続人が多くて戸籍関係書類等を集めるのに時間がかかりそうなときは、手続きの進め方を、お近くの法務局の登記手続案内(予約制)で早めに聞いておく方法もあります。

どちらの手続きにするかは、遺産分割がいつまとまりそうかの見通しで決めるのがよいと私は考えています。

ここがポイント

  • 相続人申告登記は、期限内(3年以内)に特定の相続人が単独で申し出られる。義務を果たしたとみなされるのは、申し出た相続人についてだけ
  • 遺産分割のあとの登記の義務は、相続人申告登記では果たせない
  • 売るときや抵当権を設定するときは、相続登記が必要

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空き家を売るときの税の制度は、どんな仕組みで、どんな家が当てはまる?

【この章の結論】空き家の特例は、売った人・家屋・敷地等の要件ごとに確かめます。まずは家屋の3つの要件から見ます

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、表にある制度の期間の間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます(国税庁の案内)。

国税庁の案内での名前は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で、この記事では空き家の特例と書きます。

令和6年1月1日以後に行う譲渡で、被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は、上の最高額が2,000万円までとなります。

売った人の要件

売った人が、相続または遺贈(死因贈与を含みます)により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人(包括受遺者を含みます)であることが要件です。

家屋と敷地等の要件

特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります)です。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋が、被相続人居住用家屋に当たります。

特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいいます。

私なら、売り方や売る時期を考える前に、家屋の3つの要件から見ます。たとえば、相続の開始の直前まで親と同居していた家族がいた場合は、3つ目の要件に当たるかが分かれ道になります。

「親と同居していた場合は、どうなるんだろう…」

家屋の3つ目の要件に当たるかが分かれ道になります。当てはまるかどうかは、税務署や税理士に確かめてください。

ここがポイント

  • 要件に当てはまるとき、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる。令和6年1月1日以後の譲渡で、取得した相続人が3人以上なら最高2,000万円
  • 家屋の要件は、昭和56年5月31日以前の建築など3つ
  • 老人ホーム等に入所していた場合も、一定の要件を満たせば当てはまることがある

空き家の制度の売り方と、そのほかの要件は?

【この章の結論】売り方(イ・ロ・ハ)ごとに、家屋と敷地等にかかる要件が違います。添える書類も売り方ごとに確かめます

売り方は、下の表のイ・ロ・ハのどれかに当たることが要件で、売り方ごとに、家屋と敷地等のそれぞれにかかる要件が違います。

どの売り方にも「事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」という要件が入っていて、表ではこれを「使い方の要件」と書いています。

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売り方売るもの使い方の要件がかかる期間家屋のそのほかの要件敷地等のそのほかの要件
イ相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、家屋とともに敷地等を売る家屋と、ともに売る敷地等:相続の時から譲渡の時まで譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること使い方の要件だけ
ロ相続または遺贈により取得した家屋の全部の取壊し等をした後に、敷地等を売る家屋:相続の時から取壊し等の時まで/敷地等:相続の時から譲渡の時まで使い方の要件だけ取壊し等の時から譲渡の時まで、建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと
ハ相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、家屋とともに敷地等を売る場合で、上のイに当たる譲渡を除くもの相続の時から譲渡の時まで譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったか、全部の取壊し等を行ったことハの項目には、家屋と敷地等ごとの書き分けがない

ハの要件については、令和6年1月1日以後に行う譲渡に限ります。

敷地等もともに売るときに、ハの使い方の要件をどう当てはめるかは、税務署で確かめておくと安心です。

たとえば、家屋を取り壊して敷地等を売るロの売り方で、取り壊したあと売るまでの間に敷地を駐車場として貸すと、敷地等の使い方の要件の言葉に当たらなくなります。

売却代金・売る相手などの要件

  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと

このうち1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時からこの特例の適用を受けて家屋または敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により行います。

たとえば、きょうだいで受け継いだ家屋と敷地等を、ひとりが先に売り、別のきょうだいが後から売る場合は、後から売った部分の代金もこの判定に入ることがあります。

確定申告に添える書類

空き家の特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

国税庁の案内では、添える書類が売り方ごとに並んでいます。イの売り方で挙がっているのは、次の書類です。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 売った資産の登記事項証明書等で、案内に書かれた事項を明らかにするもの
  • 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(譲渡の日前2年以内に証明のための調査が終了しているまたは評価されているものに限ります)
  • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの

このうち確認書は、市区町村長が一定の事項を確認した旨を記載した書類です。ロ・ハの売り方で添える書類の組み合わせは、案内の売り方別の一覧で確かめます。

私は、売り方を決める前にこの書類の一覧にも目を通すのがよいと考えています。耐震基準適合証明書などの写しは、譲渡の日前2年以内に調査が終了しているか評価されているものに限られるので、売る時期とあわせて考えることになるからです。

「取り壊すか、そのまま売るかで、要件が変わるんですね。」

はい。売り方を決める前に、表と添える書類の一覧に目を通しておくと安心です。

  • 取り壊したあと売るまでの間に敷地を駐車場として貸すと、敷地等の使い方の要件の言葉に当たらなくなる
  • 1億円以下かどうかは、ほかの相続人が売った部分も含めて判定することがある
  • イの売り方で添える耐震基準適合証明書などの写しは、譲渡の日前2年以内に調査が終了しているか評価されているものに限られる


相続税の一部を取得費に加える仕組みは、誰に当てはまる?

【この章の結論】取得費の特例は、売る財産を取得したその人に相続税が課税されているかで見ます

当てはまるかどうかは、相続人全体ではなく、売る財産を取得したその人について見ます。

国税庁の案内によると、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

この仕組みは、国税庁の案内では「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という名前です。以下、取得費の特例と呼びます。

要件

国税庁の案内に並ぶ要件は、次のとおりです。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を、表にある売る時期の要件のとおりに譲渡していること

この売る時期の終わりの日は、相続税の申告期限を基準に決まります。そのため私は、売る時期を考えるより先に、表の相続税の申告の行の日付を確かめる順番をすすめています。

空き家の制度との関係

同じ家屋や敷地等の売却で取得費の特例を受けると、空き家の特例の要件のひとつ(売った家屋や敷地等について他の特例の適用を受けていないこと)には当たらなくなります。

手続きと、税理士に確かめたいこと

取得費の特例も、手続きは確定申告で、一定の書類を添えます。

税理士や税務署に確かめたいこと(問いの形のメモ)

  • 売る財産を取得した私に、相続税が課税されていますか?
  • 売る予定の日は、取得費の特例の売る時期の要件に入りますか?
  • 同じ家屋や敷地等を売るとき、空き家の特例と取得費の特例は、どちらの要件を確かめればいいですか?
  • 家屋・売り方・使い方は、空き家の特例の要件に当てはまりますか?

「相続税がかかっていない家族も、この特例を使えるのかな…」

当てはまるかは、売る財産を取得したその人で見ます。上の問いをメモにして、税理士や税務署に確かめてください。

ここがポイント

  • 取得費の特例は、相続人全体ではなく、売る財産を取得した本人で見る
  • 売る時期の終わりの日は、相続税の申告期限を基準に決まる
  • 取得費の特例を受けると、同じ家屋や敷地等で空き家の特例の要件のひとつに当たらなくなる

住む・貸す・置いておく・売るで、先に見るところはどう変わる?

【この章の結論】住む・貸すを決める前に、空き家の制度の使い方の要件を見ておきます

家をどうするかで、先に見るところは変わります。なかでも住む・貸すの前に見ておきたいのが、空き家の制度の使い方の要件です。

「売るか、住むか、まだ決められない…」

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家のこれから先に見るところ見る理由確かめる先
家族が住む・人に貸す空き家の制度の売り方の表(使い方の要件)売り方の表の期間に、家屋や敷地等を居住の用や貸付けの用に供したことがあると、使い方の要件の言葉に当たらなくなります税務署
家屋を取り壊す空き家の制度の売り方の表のロとハの行取り壊すのが売る前か、売ったあとかで、当たる行が変わります税務署・市区町村
しばらく置いておく締め切りの表の売る時期の行(空き家の制度と取得費の仕組み)置いている間も、売る時期の区切りは表の起点から進みます税務署
売る締め切りの表の相続登記の行と、空き家の制度の売却代金・売る相手などの要件相続した不動産を売却するような場合には、相続登記をする必要があります法務局・税務署
まだ決めていない相続放棄・準確定申告・相続税の申告の行と、相続登記の行家をどうするかとは別に、それぞれの起点から数え始めます家庭裁判所・税務署・法務局

たとえば、しばらく置いておくつもりなら、空き家の制度は、売る時期の要件の行と制度の期間の行を並べて見ておきます。相続の開始があった日によっては、制度の期間の終わりのほうが先に来ることがあるからです。

私が、住む・貸すを決める前に使い方の要件を見てほしいと考える理由は、要件の言葉が「供されていたことがないこと」だからです。あとで使い方を元に戻しても、その期間に使った事実は残ります。

売り方の表には「供されていたことがないこと」という言葉があります。住む・貸すを決める前に、この言葉がご自身の場合に当たるかを、税務署や税理士に確かめてください。


まとめ

  • 起点の日は行ごとに違い、人によってずれる行もある
  • 登記の区切りは、家の行き先と関係なく進む
  • 売る時期の行は、税の制度の要件として読む
  • 空き家の制度は、家屋の要件と売り方から
  • 取得費の仕組みは、取得した本人で見る

「まずは表の起点の欄に、自分の日付を書き込んでみます。」

次にすることは、表の起点の欄にご自身の日付を書き込み、確かめる先の欄から問い合わせる先を決めることです。

🏠 実家のこと、何から始めればいいか一緒に整理します

相続した実家は、片付け・登記・兄弟との話し合い・売るか持つかの判断が重なって、なかなか動き出せないものです。LINEで「実家」とひとこと送っていただければ、相続した家の段取りチェックリスト(期限と相談先をまとめた1枚)をお送りします。

  • ✅ 今やること/まだやらなくていいことを、状況に合わせて整理します
  • ✅ 売る・貸す・持ち続けるの、それぞれの手元に残るお金の目安を一緒に出します
  • ✅ 税金・登記・相続人どうしの話し合いは、それぞれの専門家(税理士・司法書士・弁護士)の役割です。必要なときは、相談先の探し方もお伝えします

まずは整理だけ。ご依頼はそのあとで大丈夫です。返信は原則24時間以内、私(岡本)からお送りします。


【参考情報】

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情報出典
裁判所 相続の放棄の申述www.courts.go.jp
裁判所 相続の限定承認の申述www.courts.go.jp
国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)www.nta.go.jp
国税庁 No.4152 相続税の計算www.nta.go.jp
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税www.nta.go.jp
法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&Awww.moj.go.jp
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例www.nta.go.jp
国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例www.nta.go.jp
※2026年11月2日時点で各機関の公式ページを確認しています。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産取引を推奨するものではありません。記載情報は執筆時点のものです。手続きや税の扱いは、各窓口や専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

株式会社TERASSで、フリーランスの不動産エージェントとして活動中。

「住宅は、暮らしと人生の土台」と考え、物件の提案だけにとどまらず、ライフプラン・資金計画・子育て・老後まで見据えた“住宅コンサル型”の提案を得意としている。

得意な物件は、中古マンション・建売住宅・注文住宅の3領域。
特に注文住宅では、現在ハウスメーカー各社と打ち合わせを重ね、信頼できる優秀な営業担当との連携体制を構築中。

住宅ローン、資産形成、税金対策といった視点を大切にしながら、後悔のない住まい選びを一緒に考え、丁寧にサポート。

プライベートでは2児の父。
読書・サウナ・筋トレ・ブラジリアン柔術が心と体のリセット時間。

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