相続したマンション、売るか貸すかで迷ったら|「貸して赤字」を防ぐ比べ方

相続したマンションは売るか貸すか|手残りと家賃の比べ方・大阪市の窓口のイメージ(暗い紺色の背景に、売ると貸すを比べるアイコン)

読了時間 約9分

こんな方に:親のマンションを受け継いで、売るか貸すかで迷っている方

※本記事の税制・控除に関する記載は、国税庁などの公表資料に沿った一般的な制度紹介です。税額の計算・特例が使えるかの判断・申告は税理士が行います(私は税理士ではありません)。個別のことは税理士または税務署(国税庁の電話相談もあります)にお問い合わせください。また、賃貸運用に関する記載は一般的な情報提供であり、投資助言・運用判断のアドバイスではありません。


相続したマンション、売るのがいいのか貸すのがいいのか、何を基準に考えればいいのでしょうか?

親のマンションを受け継ぐと、売るのか、誰かに貸すのか、すぐには決めにくいものです。そこで私は、家賃や売値を調べる前に、「いつまで持つか」と「誰の名前で持つか」を家族で話しておく順番をおすすめしています。そのうえで、売った場合に残るお金と、貸している間に残るお金を同じ表に並べると、比べやすくなります。

この記事で分かること
  • 売るか貸すかを考えるときの順番
  • 空き家を売るときの税の制度と、マンションとの関係
  • 売った手残りと貸した家賃を並べる表
  • 貸すと決める前に確かめておきたいこと

この記事を書いた人

🏠 岡本岳大 TERASSパートナーの不動産エージェント

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目次

売るか貸すかは、何から考え始めればいい?

【この章の結論】お金を比べる前に、「いつまで持つか」と「誰の名前で持つか」を家族で話しておく順で考えると、迷いにくいです。

まず家賃の相場を調べようと思っていました。順番が違うのでしょうか?

家賃を調べること自体は大切ですが、持つ年数によって、同じ家賃でも意味が変わります。たとえば、近いうちに現金で分けたい場合と、将来ご家族の誰かが住むかもしれない場合では、見るお金が違ってくるからです。そこで、先に話しておきたいことを順番に並べます。

  1. いつまで持つつもりか(近いうちに現金にしたいのか、しばらく持ちたいのか)
  2. 誰の名前で持つのか(おひとりが受け継ぐのか、きょうだいで持ち合うのか)
  3. 貸すなら、家賃を受け取る人と、入居者や管理会社とやり取りする人は誰か

なかでも名前の話は、手続きにも関わります。法務省の案内では、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、名義の書き換え(相続登記)をすることが法律上の義務になりました。

法務省の案内では、相続した不動産を売るときにも相続登記が必要とされています。ですから、売る場合も貸す場合も、名前の話は後回しにしないでおきたいところです。

大阪市内のマンションの場合、大阪市の案内では、固定資産(土地・家屋)の所有者がお亡くなりになった場合、所有者の名義が変更されるまでの間は、相続権のある方が納税義務者となります。話し合いが長引きそうなときは、税の書類を誰が受け取るかも決めておくと安心です。

ここがポイント

  • 家賃や売値を調べる前に、持つ年数と名前の話をしておく
  • 名前の話は、売る場合にも貸す場合にも関わる

マンションにも、空き家を売るときの特例は当てはまる?

【この章の結論】国税庁の案内では、特例の対象になる家屋の要件のひとつが「区分所有建物登記がされている建物でないこと」です。そのため、マンションは戸建てと同じ前提で考えず、登記を確かめてから税理士に聞く順で考えます。

相続した空き家なら税金が軽くなると聞いたことがあります。マンションでも同じでしょうか?

相続した家のことを調べると、国税庁の案内にある「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を目にすることがあります。一定の要件に当てはまるときに使える制度で、売る時期にも区切りがあります。

この特例の要件のひとつに、「区分所有建物登記がされている建物でないこと」があります。ですから、マンションは戸建てと同じ前提で考えず、まず登記事項証明書(登記簿)で登記の形を見ておきましょう。

一方で、国税庁の案内には「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」もあります。こちらも、相続税が課税されていることや、売る時期などの要件があります。

貸してから売るつもりなら、売る時期との関係が気になるところです。使えるかどうかは税理士が判断することなので、次のように聞いてみてください。

  • 登記事項証明書を見たうえで、このマンションについてこの特例の家屋の要件をどう読めばよいですか?
  • 貸してから売る場合、取得費の計算で気をつけることはありますか?
  • 貸している間に修繕積立金を払う場合、税の計算でどう扱いますか?

ここがポイント

  • 戸建ての空き家の話と、マンションの話を分けて読む
  • 登記事項証明書を手元に置いて、税理士に聞く

🏠 実家のこと、何から始めればいいか一緒に整理します

相続した実家は、片付け・登記・兄弟との話し合い・売るか持つかの判断が重なって、なかなか動き出せないものです。LINEで「実家」とひとこと送っていただければ、相続した家の段取りチェックリスト(期限と相談先をまとめた1枚)をお送りします。

  • ✅ 今やること/まだやらなくていいことを、状況に合わせて整理します
  • ✅ 売る・貸す・持ち続けるの、それぞれの手元に残るお金の目安を一緒に出します
  • ✅ 税金・登記・相続人どうしの話し合いは、それぞれの専門家(税理士・司法書士・弁護士)の役割です。必要なときは、相談先の探し方もお伝えします

まずは整理だけ。ご依頼はそのあとで大丈夫です。返信は原則24時間以内、私(岡本)からお送りします。

売った手残りと貸した家賃は、どう並べて比べる?

【この章の結論】売って入るお金は一度きりで、貸して入るお金は入居者がいる間の家賃です。ですから、額面ではなく差し引いたあとに残るお金を同じ表に書き、貸して残るお金がプラスになるかを見たうえで、持ち続ける理由があるかを考えると、比べやすくなります。

売値と家賃は、どう比べればいいのでしょうか?

売値も家賃も、そのままの金額では比べられません。どちらにも差し引くお金があり、入ってくる時期も違うからです。そこで、次の表の順に書き出してみてください。

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書き出す項目売る場合(一度きり)貸す場合(年間の見込み)
入ってくるお金売れた金額家賃(賃料)
差し引くお金仲介手数料、売買契約書の印紙代など、売るために直接かかった費用管理費、修繕積立金、固定資産税、損害保険料、修繕費、管理会社に払う費用
税金譲渡所得に対する税金不動産所得に対する税金
残るお金売った場合の手残り年間で残る見込みのお金
※金額は物件や時期で変わるので、ご自身のマンションの数字を入れてください。

表の税金は、ここで金額を計算する欄ではありません。売る場合は、国税庁の案内のとおり、譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

貸す場合は「不動産所得」の話になります。国税庁の案内では、必要経費とすることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものであり、主なものとして貸付資産に係る固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費が挙げられています。

管理費と修繕積立金も、忘れずに入れておきたい欄です。国土交通省の案内にも「マンションを購入すると、住宅ローンの支払いとは別に、管理費・修繕積立金の支払いが必要です」とあります。これは購入する場合の説明なので、受け継いだ部屋の金額や支払いの状況は、手元の書類や管理組合に確かめておきましょう。

大阪市内のマンションなら、固定資産税の問い合わせ先は、資産のある区を担当する市税事務所です。

表が埋まったら、売る場合と貸す場合の金額をそのまま大小で比べず、貸して残るお金がプラスになるかを先に見てください。赤字になるなら、持っている間の不足分は手元のお金から出すことになります。

ただし、この表には空室の期間や修繕費の増減、貸したあとで売るときの値段が入っていません。ですから、表の金額だけで決めないようにしましょう。

そのうえで「いつまで持つか」と表を並べて、持ち続ける理由があるかをご家族で話してみてください。

ここがポイント

  • 額面ではなく、差し引いたあとに残るお金を並べる
  • 貸して残るお金がプラスになるかを、先に見る

プロとしての判断|貸すと決める前に、何を確かめる?

【この章の結論】契約の種類と管理規約、そして後で売りたくなったときの形を先に確かめる順で考えると、整理しやすいです。答えはご家族の事情で分かれるので、下の表をたたき台にしてください。

ひとまず貸してみて、合わなければ売る、という考え方はどうでしょうか?

その考え方も選択肢のひとつです。ただ、貸すと入居者との契約が続くので、売りたくなったときに空室で売り出せるとは限りません。

国土交通省の案内によると、定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する制度です。

一方で普通建物賃貸借では、正当の事由がない限り賃貸人からの更新拒絶はできません。ですから、将来売るかもしれない、ご家族が住むかもしれないという場合は、貸し方の種類を決める段階から考えておきたいところです。

また、貸したあとで売るときの費用も、表の「売る場合」の列に入れて考えます。国税庁の案内の譲渡費用には「売却するときに借家人などに支払った立退料」も挙がっています。

管理規約も、貸す前に読んでおきたい書類です。国土交通省の案内では「マンションで区分所有者が守らなければいけない最も重要なルールが「管理規約」です」と説明されているので、貸すときの決まりが書かれていないかを見ておきましょう。

  • 貸す前に直すところと、その費用
  • 入居者が決まるまでの間、管理費や修繕積立金を誰が払うか
  • 離れて住んでいる場合の、入居者からの連絡の受け方

そのうえで私は、持ち続ける理由がはっきりしないときは、売った場合の手残りから具体的に確かめる順番をおすすめしています。反対に、将来ご家族が住むなど理由が見えているなら、貸し方の条件から詰めていくと考えやすいと思います。

ご家族の状況ごとに、先に確かめることを表にします。

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今の状況先に確かめること
きょうだいで分けるお金がほしい売った場合の手残り
将来、ご家族の誰かが住むかもしれない期間を区切る貸し方が合うか
離れて住んでいて、部屋を見に行きにくい管理会社に任せる費用を引いたあとに、年間でいくら残るか
管理費と修繕積立金の負担が重いと感じる家賃からそれらを引いたあとに、年間でいくら残るか

たとえば、離れて住むきょうだいで受け継ぎ、誰も住む予定がなく、お金に分けたいと考えている場合です。このときは表の最初の行にあたるので、まず売った場合の手残りを確かめます。貸す案は、家賃を誰が受け取るか、入居者の連絡を誰が受けるかまで話がまとまるかを見てから考える、という順番になります。

ここがポイント

  • 貸してから売る道もあるが、契約の種類で動きやすさが変わる
  • 理由がはっきりしないときは、売った場合の手残りから確かめる

まとめ

売るか貸すかの答えは、ご家族の事情で変わります。焦らず、ひとつずつ確かめていきましょう。

  1. 順番 — 持つ年数と名前を話してから、お金の表を作る
  2. 税の話 — 空き家の案内を読むときは、登記の形から確かめる
  3. 貸す案 — 契約の種類と管理規約まで見てから決める

次は、登記事項証明書と、管理費・修繕積立金の金額が分かる書類を手元にそろえ、表の空欄を埋めるところから始めてみてください。売れそうな金額や貸せそうな家賃が分からない欄は、空けたままでかまいません。

🏠 実家のこと、何から始めればいいか一緒に整理します

相続した実家は、片付け・登記・兄弟との話し合い・売るか持つかの判断が重なって、なかなか動き出せないものです。LINEで「実家」とひとこと送っていただければ、相続した家の段取りチェックリスト(期限と相談先をまとめた1枚)をお送りします。

  • ✅ 今やること/まだやらなくていいことを、状況に合わせて整理します
  • ✅ 売る・貸す・持ち続けるの、それぞれの手元に残るお金の目安を一緒に出します
  • ✅ 税金・登記・相続人どうしの話し合いは、それぞれの専門家(税理士・司法書士・弁護士)の役割です。必要なときは、相談先の探し方もお伝えします

まずは整理だけ。ご依頼はそのあとで大丈夫です。返信は原則24時間以内、私(岡本)からお送りします。

※本記事は執筆時点の公開情報をもとにした一般的な解説です。制度や金額は変わることがあるので、最新の内容は各確認先でご確認ください。

【参考情報】

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機関名内容
法務省相続登記の申請義務化
大阪市ご不幸に伴う市税の手続き(固定資産税の納税義務者)
国税庁被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国税庁相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
国税庁譲渡所得の計算のしかた
国税庁不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
国土交通省定期建物賃貸借
国土交通省マンションの管理状況チェックシート
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この記事を書いた人

東京・大阪の2拠点で働く、現役の不動産エージェント。

「お家を売りたい方・買いたい方に、失敗してほしくない!」をモットーに、日々活動。

得意な物件は、中古マンション・建売住宅・注文住宅の3つ。売却や、相続した実家のご相談もお受けしている。

プライベートでは2人の子の親で、子育て奮闘中。読書・サウナ・筋トレ・ブラジリアン柔術で、心と体をリセットするのが趣味。

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